2008年12月14日

山口晃個展「さて大山崎」レヴュー

山口晃01山口晃02

アサヒビール大山崎山荘美術館 http://www.asahibeer
山口晃展
「さて、大山崎」
2008年12月11日(木)〜2009年3月8日(日)

大山崎の長い踏切を渡り、息を切らせながら山道を行くと
偶然見つけてしまった場所という妙な感じがする門があり、
その奥にひっそりと、本展の会場となる大山崎山荘美術館は建っている。
隔世的な雰囲気の美術館に
紙にペン/水彩の細密描写「大山崎交通乃圖」
カンバスに油彩「最後の晩餐」!!など新作含め約20点。
癖のある作品が並んでいる。

サワラギノイをして日本現代美術における「正当派」絵描きと言わしめた、山口晃の、関西発個展が始まった。

これは批評ではなく感想であることを断っておくが
やはり彼は「漫画家のように」上手い。
イメージを形にする正確な技術とエンターテイナーとしてのバランス感覚。
まさしくとても現代的なアーティストである。

山口晃が如何に「正統派」であり、何ゆえ「漫画家のように」上手いと書くのかは、またの機会にするとして、
彼の凄さは、おそらく観客と芸術とのよき出会いをアレンジできる事ではないかと思う。
有無を言わせぬ技術、細密描写や現代社会批評的なシニカルさ、
バランス感覚のあるユーモア。
作品に詰め込まれた、その引っ掛かりのようなものが
観客に快の感情を与える。
入り口は広い。

しかし、それでは終わらない。
そのもうひとつ先に、彼の仕組んだ出会いがあるのだ。
技術で何重にもくるまれた毒っ気というのか、
とてもとても丁寧に馬鹿にされているという感じ。
それが本展では良く出ていて、特に新館にモネと一緒に展示されている作品群等は、その舌触りのよさと後味の悪さ(それが何を意味するのかわからないのだけど)の妙な不安定さが際立っている。

果たして、これは何なのか。

展覧会からの帰り道、くだりの山道。
山吹色の落葉を踏み足がすべる。
踏切を越えるとそこには現代社会が待っている。
はたしてどんな笑顔で帰るべきか、そんな疑問が浮かんで
すぐ捨てた。

「さて、大山崎」。

展覧会は3月までやっている。
この不安定な足場を回復するには、もう一度そこを訪れるしかないだろう。恐ろしい展覧会だ。


posted by 編集部 at 21:39| Comment(0) | 展覧会レヴュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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