2008年12月08日

「エモーショナルドローイング展」レビュー

エモーショナルドローイング「エモーショナルドローイング展」の展覧会レビュー。
京都国立近代美術館 2008年11月18日〜2008年12月21日
http://www.momak.go.jp/


ドローイングというと、世界に溢れまくるイメージを消化し、自分の排泄物として生み出す前段階のものであり、素直で傷つき易く、いたって繊細なものという印象がある。
幼少の記憶や無意識に描いたもの、夢のなかなど描かれている対象は様々だが、ドローイングという行為を媒介に作家自身も情動を感じ取っているのであり、それ故、極めて作家の意識に近い存在であるといえるだろう。

今回の展覧会では、アジアを中心に活動しているアーティスト16名によるドローイング作品が集められた。国または文化圏によって捉え方の違う情動、その多様性を理解すること。それらは繊細であるが故、表現としては弱い傾向にあるがその弱さこそ今回の展覧会の醍醐味である。

中でも一番印象的だったのが、ホセ・レガスピの『粘液質』である。
カラフルな色彩を用いたドローイングが多数占めるなか、黒一色で描かれた彼の世界は異様なほどグロテスクであり、言いようのない圧迫感がある。
人間の内面に秘められた苦悩なんて陳腐な言葉じゃ言い表せないような、生々しい苦しみに吐き気をおぼえた。一番情動を揺さぶられた(乱された?)作品だ。

作家の感情に近い存在だからこそ、見ているものは比較的リンクし易く、また、それぞれの国が抱える社会背景や文化を多少意識し作品を見ると、作品から感じとれる情動の違いは明らかである。
それは直接的ではないが、間接的に私たちに訴えかけてくる。 

自分自身にわき上がる情動を素直に楽しむことで、今まで味わった事のない感情に出会うかもしれない。


posted by 編集部 at 11:17| Comment(0) | 展覧会レヴュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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